■百貨店時代
僕は、2001年3月から2011年2月までの10年間、大阪・心斎橋の百貨店にてメモリアルサロン(仏事相談コーナー)の責任者をしておりました。
店頭あるいはお客様宅にて、葬儀後のアドバイスをするのが仕事でした。
毎日毎日、大切なご家族を亡くされお悲しみにあるお客様に向き合っておりました。その数、10年間で1万件を下ることはないと思います。
「もっと長生きしてほしかった」
「最期を自宅で看取れなかったことが悔やまれる」
お客様の嘆きはそれぞれ違うものの、「もっとこうしていれば・・・」は共通していたように思います。
いくら悲しんでも亡くなった方は生き返らないのですが、その悲しみを誰かに話すという事はとても重要なのではないかと気付いていました。
お客様の話を聴く。
百貨店員としてごく当たり前のことなんですが、お悲しみが深い時にこそ親身になって耳を傾ける姿勢が、僕のグリーフケアの原点と言えます。
■店内から紹介の声が・・・
最初のうちは、この小さなコーナーは目立つことなくひっそりしていました。
商品を並べているわけでもなく、何をするところかよくわからなかったのかもしれません。
しかし、誠心誠意お客様のお悲しみに耳を傾けているうちに、店内で」徐々に評判があがってきました。
「うちの親戚にこういう人がいるから、話を聴いてあげてほしい」
そういう百貨店社員が現れてきました。
内部からそういう声がでてきた時、僕は『信頼されている』という実感がもてるようになってきたのです。