筆者は、労使問題で法廷に立ったことがある。
現在も代表取締役を務める会社の創業期、設立時役員だった者が「残業代未払い」の訴訟を起こしたのである。
相談した弁護士の第一声は「なんで取締役に残業代がいるんや」だったが、それは筆者を慮っての「慰めの言葉」だったのかもしれない。
裁判所でお互いの言い分を出し、結果、数十万円程度を会社が支払うことで和解になった。
相手方が弁護士を通して伝えてきた。
「金がほしかったわけではない」と。
訴状で数百万円を要求してきたのだから「負け惜しみ言いやがって」と思っていた。
しかし、10年以上経った今、それは案外「本音だったのかもしれない」と思っている。
筆者には「相手の気持ちを推し量る」という姿勢が著しく欠落していたのである。
◇ ◆ ◇ ◆
「このビジョンを達成するため一緒に頑張ろう」
この数十年間で、どれだけの人と約束し、どれだけの人が脱落していったことか。
多くの人間に「裏切られた」と思っていた。
しかし、それはこちら側の気持ちだけである。
去っていった人たちにも「言いたい事」はたくさんあったのだろう。
その「言いたい事」を少しでも伝えるために、「訴訟」という手段を使う人がいるということだ。
事業を拡大させるとどうしても「人を雇う」ことをしなくてはならない。
そして、「従業員とは、どうしてこうも理不尽なことを言ってくるのだろう」と頭を抱える繰り返しである。
でも、それがいかに理不尽なことだとしても、相手は「正しい」と思っているし、その要求が通らないと「社長は話を聞いてくれない」となる。
実に困った話である。
経営者とは、実は傾聴の達人であることが必須だろう。
更にグリーフケアをうまく使えば、労使問題は解決していくと主張する。
グルーフケアから労使問題を考える(ビハーラ聞思洞in甲子園口)
■2017年5月9日(火)午後6時から8時
■念佛寺((西宮市甲子園口2丁目7-20)
■参加無料(定員20名・要予約)
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